外来種は自然環境にどのような影響を与えるのだろう。
もともとそこにいなかった生きものが、他の場所から持ちこまれすみついたものを外来種と言います。ペット、緑化や園芸、養殖、害虫駆除などの目的で、人の手によって持ち込まれた生きものが、野外にはなされたり、人の手で植えられたり、勝手に逃げ出したりするといったことが原因で外来種となります。
鹿児島市内では、特定外来生物が12種、環境省の生態系被害防止外来種リスト掲載種が99種類確認されています。
(コラム)外来種ってなんだろう?
1 ほ乳類
2 鳥類
ドバトは、ヨーロッパをはじめとするユーラシアに生息するカワラバトが、伝書鳩やレース用として日本に持ち込まれたもので、飼育していたものが逃げ出して野生化した「カゴ抜け」とよばれる外来種です。
市街地に広くすんでおり、公園などでは、人のエサやりで定着し、フンの問題もあります。
3 は虫類・両生類
特定外来生物であるウシガエルが永田川で確認されています。
は虫類では、アカミミガメが甲突川で確認されています。アカミミガメは、夏祭りや六月灯などの夜店やペットショップでミドリガメとして販売されていたものが、野外に放たれたことなどが原因で広く分布し、在来のカメ類とエサや日光浴場所などを巡って競合するなど、影響を及ぼしています。
令和5年6月1日に「条件付特定外来生物」に指定されました。
キノボリトカゲ、すぐ近くまで
キノボリトカゲ類は日本では奄美より南の地域で自然分布するトカゲの一種です。
奄美にはオキナワキノボリトカゲが生息しています。
そこではマングースやノネコなどに食べられたり、ペット用として人に捕まえられたりするため生存がおびやかされており、絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
しかし、宮崎県日南市では南方の島からのチップ用材にまぎれていたものか、飼育されていたものが野外に放たれ、鹿児島県指宿市では観葉植物の持ち込みの際にまぎれ込んでしまい、すでに定着しており、今後も分布の拡大が心配されています。
自然分布地では希少種であるものも、他の地域に持ち込まれると国内移入種となってしまい、その地域の生態系に影響を与えることとなります。
4 昆虫類・多足類・クモ類
特定外来生物であるクモ類のセアカゴケグモとハイイロゴケグモが、外国からの貨物などに付着し、侵入した港湾の周りだけでなく、市内中心部でも確認されています。
また、外国産クワガタムシ・カブトムシの、オオヒラタクワガタ、キバナガノコギリクワガタ、アトラスオオカブトが確認されています。
その他にも、近年ではヤンバルトサカヤスデが市内の広範囲で確認されています。
5 魚類
特定外来生物であるオオクチバス(ブラックバス)、カダヤシとブルーギルが確認されています。オオクチバスは松元ダムで、カダヤシは甲突川、永田川などで、ブルーギルは永田川と松元ダムで確認されています。
その他、グッピー、ニジマスなど多くの外来種が甲突川や永田川で確認されています。
6 貝類
特定外来生物は確認されていません。外来種リストにのっている種として、ジャンボタニシとも呼ばれるスクミリンゴガイが吉田(本名川など)の川や、市内各地の田んぼなどで確認されています。この貝は、田んぼに植えられた若いイネを食べてしまうため問題になっています。
7 甲殻類
アメリカザリガニが甲突川で確認されています。アメリカザリガニは、令和5年6月1日に「条件付特定外来生物」に指定されました。
その他、タテジマフジツボが磯海岸付近や桜島で確認されています。
8 植物(維管束植物)
特定外来生物として、浅い水際に生育するオオフサモ、池などに浮いて生育するボタンウキクサ、道路際や畑などに生育するオオキンケイギク、川岸などに生育するアレチウリが確認されています。
また、アメリカセンダングサやオオカナダモ、モウソウチクなどが確認されています。モウソウチクは近年分布が拡大していて、国は、拡大などを防止するための適切な管理が必要な外来種としています。
このほか、ホテイアオイやホウライチク、オオマツヨイグサ、アメリカネナシカズラなどが確認されています。
特定外来生物オオキンケイギク
オオキンケイギクは外来植物で、鹿児島では6月頃を中心に黄色いコスモスのような花を咲かせます。
この植物は花がきれいで育てやすいため、観賞用や緑化用として国内に持ち込まれ、道路ぞいの緑化にも使用されていました。
鹿児島市でも、日当たりのよい道路ぞいや川の土手など市内全域に分布しています。1年では枯れない多年草であり、いったん定着してしまうと、もともとあった野草の生育場所をうばってしまうことが問題になっています。
現在は、特定外来生物に指定され、野外に植えることや種子をまくこと、家庭で栽培することが禁止されています。
外来種の拡大防止という点で、この花を自然界に放置したり、育てたりすることには問題があると言えます。
近年、市民と一緒になってオオキンケイギクの駆除活動を実施している自治体もみられます。
一度定着してしまったオオキンケイギクを駆除するためには、このような地道な活動を継続して行う必要があります。
また、特定外来生物の正しい知識も必要です。駆除活動の情報を見つけたら、積極的に参加してみましょう。
外来種をそのままにしておくと、元々そこに住んでいた生きものが食べられて生態系が崩れたり、農作物が食べられる農業被害が出るなど私たち人間の生活にも影響があります。