希少野生動植物とは、絶滅のおそれのある野生動植物のことです。一般的には、環境省や鹿児島県などが作成したレッドリスト・レッドデータブックにのっているもので、特に絶滅危惧Ⅰ類とⅡ類のことをいいます。鹿児島市内では、鹿児島県レッドデータブックにのっているもので動物64種、植物147種、合計211種が確認されています。
なかには、オオウラギンヒョウモンやトビハゼのように、以前いた場所で見られなくなってしまった生き物もいます。
また、生き物の種類や数などの実態が十分にわかっていない状況にあり、人知れずいなくなってしまった生き物もいるかもしれません。
ア.ほ乳類
鹿児島県絶滅危惧Ⅰ類として、1954年(昭和29年)にエラブオオコウモリが確認されていますが、台風などで運ばれ迷い込んだものです。
Ⅱ類として、錫山地区では、キツネが確認されていますが、里地から山林に生息する動物で人目に付きにくいこともあり、鹿児島市内をはじめ県内でも確認は少ないものです。また、下福元町では山林性のコウモリであるヤマコウモリが確認されています。鹿児島市内をはじめ県内でもごくわずかしか確認されない種です。

キツネ
イ.鳥類
鹿児島県絶滅危惧Ⅰ類として、コアジサシ、ヨシゴイ、ミゾゴイ、ヤイロチョウなどが谷山地区と喜入地区で確認されています。
ヨシゴイ、ミゾゴイ、ヤイロチョウの3種は確認された記録が古いため、現在の状況は不明です。
Ⅱ類として、アカアシシギ、セイタカシギ、ツバメチドリ、ホウロクシギ、ハヤブサ、ウチヤマセンニュウなど14種が確認されています。

コアジサシ

アカアシシギ
ウ.は虫類・両生類
鹿児島県絶滅危惧Ⅰ類として、喜入地区や磯の海岸で上陸・産卵を行うアカウミガメや、郡山町でコガタブチサンショウウオが確認されています。

アカウミガメ
エ.昆虫類
鹿児島県絶滅危惧Ⅰ類として、ベッコウトンボ、オオウラギンヒョウモン、タイワンツバメシジミなど8種が確認されていましたが、オオウラギンヒョウモンは1980年(昭和55年)以降は確認されていません。
また、Ⅱ類として、オオカワトンボ、タベサナエ、ルイスハンミョウ、オナガアゲハ、コツバメ、ジャノメチョウなど14種も確認されています。
タベサナエ、ルイスハンミョウは、1995年(平成7年)以前の古い記録があるのみです。

オオウラギンヒョウモン
オ.魚類
鹿児島県絶滅危惧Ⅰ類として、アオギスやアカメが確認されています。
また、Ⅱ類として、また、多くの河川にいるウナギは、ニホンウナギとヨーロッパウナギのどちらかですが、そのうちニホンウナギは近年数が少なくなっているといわれています。
カ.貝類
クリイロカワザンショウガイ、シイノミミミガイなどが、愛宕川河口や桜島で確認されています。
キ.甲殻類
鹿児島市内では確認されていません。
ク.植物(維管束植物)
100種ほど確認されています。
そのうち、指定希少野生動植物(希少野生動植物の中でも特に保護する必要があるもの)として、キリシマエビネ、サクラジマエビネ、カンラン、ガンゼキランが確認されています。
知らない間にツバメが減っている
私たちにとって身近な野鳥であるツバメですが、近年その数が減ってきているという話が聞かれます。
日本野鳥の会の調査では、この10 年でツバメが減ったという回答が約4割あり、同会は「ツバメの巣を落とさず、見守ってほしい」というメッセージを発信しています。
ツバメは、人里で人と共存することで分布を拡大してきた種であると考えられています。
しかし、人がフンの被害を防ぐために巣を撤去したり、人が作った市街地環境がカラスを増加させ、その結果ツバメのヒナが襲われてしまうというようなことが原因でツバメが減っていると考えられています。
歌やことわざなどにもたくさん登場し、古くから親しまれてきたツバメですが、人間の生活が影響を与えています。

ツバメ
絶滅のおそれのある生き物が出てくる原因は、人が木を切ったり、海をうめ立てたりして生き物の住む場所が少なくなってしまうことなどがあります。
(生物多様性に関する問題を振り返ってみよう)