鹿児島かごしま市しの南部なんぶ、喜入きいれの生見ぬくみ海岸かいがんには、リュウキュウコウガイ（メヒルギ）の群落ぐんらくが見みられます。

　この植物しょくぶつは、「マングローブ」を形成けいせいする植物しょくぶつの一種いっしゅで、琉球りゅうきゅう（沖縄おきなわ）のこうがい（かんざし）に似にているのでこの名前なまえがついています。

　鹿児島かごしま市しの中心ちゅうしん部ぶにある城山しろやまには、クスノキ、スダジイの大木たいぼくを中心ちゅうしんにバリバリノキ、バクチノキ、オガタマノキ、タブノキ、コクモウクジャクなど約やく500種しゅほどの植物しょくぶつが生育せいいくしています。

　この中なかのシロヤマシダ、シロヤマゼンマイ、サツマイナモリなどは、日本にっぽんでは城山しろやまで初はじめて発見はっけんされました。代表だいひょう的てきな南みなみ九州きゅうしゅうの照葉樹しょうようじゅ林りんが自然しぜんのままの姿すがたで残のこっていることが貴重きちょうであり、植物しょくぶつの宝庫ほうことも呼よばれています。

　キイレツチトリモチは高たかさ３〜10cmほどの黄色きいろの小ちいさい植物しょくぶつで、トベラ、ネズミモチなどの根元ねもとに寄生きせいするめずらしい植物しょくぶつです。

　日本にっぽんでは、吉野よしの町ちょうで多数たすう発見はっけんされたことから、自生じせい地ちとしてこの場所ばしょが国くに指定していの特別とくべつ天然てんねん記念きねん物ぶつに指定していされています。キイレツチトリモチは、明治めいじ43（1910）年ねんに喜入きいれ町ちょうで初はじめて発見はっけんされたので、このように名な付づけられました。

　明治めいじ29年ねんに、世界せかいで初はじめてソテツの精子せいしが発見はっけんされたことを東京とうきょう帝大ていだい（現在げんざいの東京とうきょう大学だいがく）の池野いけの成一郎せいいちろう博士はかせが発表はっぴょうしました。

　その材料ざいりょうとなったのが、県立けんりつ博物館はくぶつかんの旧きゅう考古こうこ資料しりょう館かん前庭まえにわにある高たかさ5.9m、樹齢じゅれい約やく400年ねんと推定すいていされる雌雄しゆうのソテツ群ぐんで、この雌株めかぶについた胚珠はいしゅ（はいしゅ）の中なかから精子せいしが発見はっけんされました。 この発見はっけんは、世界せかいの学術がくじゅつ上じょう重要じゅうような成果せいかとなりました。

　東ひがし桜島さくらじま町ちょうの火山かざん活動かつどうでできた風穴かざあなのなかで、１年ねん中じゅう、平均へいきん15℃ほどの湿度しつどの高たかい風かぜが吹ふき出だしているところがあり、その周辺しゅうへんにはオオヤグルマシダやヘビゴケなどのシダ類るいやコケ類るいがかつてびっしりと育そだっていました。

　これらの植物しょくぶつが狭せまい範囲はんいに分布ぶんぷしていることは、生態せいたい分布ぶんぷ上じょう重要じゅうようなものとなっています。

　第だい17代だい島津しまづ義弘よしひろは、関ヶ原せきがはらの戦たたかいのあと、桜島さくらじまの藤野ふじのに移うつり2か月げつほど藤﨑ふじさき家けで生活せいかつした際さいにヤマモモを植うえたといわれています。

　樹齢じゅれいは約やく400年ねんで、樹幹じゅかんは3mほどの大木たいぼくです。

　キイレツチトリモチは、明治めいじ43（1910）年ねんに、喜入きいれ小学校しょうがっこう教員きょういん山口やまぐち静吾せいごがこの地ちで発見はっけんし、牧野まきの富太郎とみたろう博士はかせにより命名めいめいされた大変たいへんめずらしい植物しょくぶつです。

　その後ご吉野よしの町ちょう桜谷さくらたにでも多数たすう自生じせいしているのが見みつかり、桜谷さくらたには国くにの天然てんねん記念きねん物ぶつに指定していされました。

　薩摩さつま藩主はんしゅ島津しまづ家けゆかりの地ちとして正徳しょうとく３（1713）年ねんに再建さいけんされたといわれる花尾はなお神社じんじゃの社殿しゃでん及および社叢しゃそうはおごそかで、神聖しんせいな場所ばしょとして保護ほごされ、当時とうじ植うえられたと推定すいていされる樹木じゅもくや自然しぜん林りんの一部いちぶが現在げんざいでも大おおきな樹木じゅもくとなって生いき残のこっています。

　社叢しゃそうのイチイガシ林ばやしには、胸高きょうこう直径ちょっけいが１mを超こえるイチイガシや、多様たようで特徴とくちょう的てきな種しゅの樹木じゅもくがあり、とてもめずらしい森林しんりん植物しょくぶつ相そうとなっています。