鹿児島市内にはどんな自然環境があるのだろう。
鹿児島市は、主に海沿いの平地とうめ立て地に市街地があります。その周辺は、高さ100mから200mほどのシラス台地に囲まれており、北部と南西部の市の境付近には500~600m級の山地が連なっています。また、農地や森林は隣接する姶良市や薩摩川内市、日置市、南さつま市、南九州市、指宿市に広がりを持っています。
活火山の桜島では、北側の海沿いを中心に農地が見られますが、桜島の広い範囲で草原や森林が広がっています。一方で、山頂の周辺では、植物がほとんどない状態(※)になっています。噴火年代の異なる溶岩原では、イタドリ、ススキ、クロマツ、タブノキまでが徐々に進入していく様子など植物の移り変わりを見ることができ、桜島の溶岩地植生は国の特定植物群落に選定されています。
錦江湾は、約2万9千年前の巨大な噴火により、大量のマグマがふき出し、地下が空っぽになり、地面が落ちたことでできた大きな穴(姶良カルデラ)と約11万年前につくられた大きな穴(阿多カルデラ)に、海水が入りこみ誕生しました。錦江湾は薩摩半島と大隅半島に挟まれた湾で、その大きさは東京湾とほぼ同じ大きさですが、東京湾の水深が50mよりも浅いのに対して、錦江湾の深いところは200m以上の深さがあります。
錦江湾には、ミナミハンドウイルカや約1,000種の魚が生息しています。桜島西側や喜入の前之浜周辺の海域にはアマモ場などがみられ、錦江湾中央部の海域にはサンゴ類が生息するなど、生物多様性の観点から重要度の高い海域(重要海域)として国から選定されています。
市内には、鹿児島県のレッドデータブックに「規模は小さいが重要な中小河川の河口干潟」として掲載されている干潟があります。
喜入の生見地区には、国指定の天然記念物リュウキュウコウガイ産地があり、祇園之洲、愛宕川河口、八幡川河口には、県の準絶滅危惧種のハクセンシオマネキなどが生息しています。また、永田川河口には、ツクシガモやシギ類、サギ類、カモ類などの野鳥が観察できるほか、県の準絶滅危惧種のヒメゴカイなどの貝類が生息しています。
その他、錦江湾の沿岸部にはアコウ群がみられ、国の特定植物群落に選定されています。
また、前之浜、生見、磯海岸は、ウミガメ産卵地になっています。
※桜島の山頂周辺は、大きな木が生えていないため、植物がないように見える状態ですが、コケや地衣類などの小さな植物は存在しています。
鹿児島市をとりまく自然などの広がり
鹿児島市には、平地や山地のほか、水深200mを超える錦江湾や、活火山・桜島など、 いろいろな自然環境があります。