桜島(火山)の周辺の植物は、どのように変化しているのだろう。
火山域の自然は、陸上の植物の移り変わりを直接学習・研究できる場として、また、芸術、レクリエーションなどの場として、「文化的サービス」を提供しています。
桜島では、火山域でしかみられない生態系がつくられています。火口周辺は植物がほとんど無い地域で、その周辺には噴火で流れ出た溶岩があります。その溶岩の上では、溶岩のできた年代ごとに植物の成長の違いを確認でき、それぞれで異なる生態系をつくっています。
桜島・錦江湾ジオパークのウェブサイト
http://www.sakurajima-kinkowan-geo.jp/
※「文化的サービス」は、「生態系サービス」と呼ばれる自然のめぐみのひとつです。
参照:生物多様性と自然のめぐみ
溶岩の上の植物
桜島は、噴火で流れ出た溶岩によって、植物が焼かれて岩だらけの地形を作ってきました。溶岩が流れ出た噴火でよく分かっているものは、文明噴火(戦国時代:1471年)、安永噴火(江戸時代:1779年)、大正噴火(1914年)、昭和噴火(1946年)があります。
噴火から長い年月がたつと植物は復活し森になっていきます。何もない溶岩の上に植物が生えて森になるまで、数百年かかると言われています。桜島には様々な時代の溶岩があるので、島を一周すれば数百年分の植物の移り変わりを見ることができます。
鹿児島のシラス台地、桜島と錦江湾はどのように誕生したのでしょう。
約2万9千年前に、大きな噴火が起こり、火山から高い温度の火山灰や軽石などのまざった物(火砕流)が流れ出ました。
この火砕流が周囲を埋めつくすことで鹿児島のシラス台地がつくられました。なお、この火砕流により鹿児島県の生きものは一度全滅しています。
この噴火により、地下が空洞になったことで地面が陥没し、大きなくぼ地(姶良カルデラ)ができ、ここに海水が少しずつ流れ込んできたことにより、現在の錦江湾が誕生しました。
また、この姶良カルデラの誕生から約3000年後に、新たな噴火が始まり、桜島の北岳が誕生しました。北岳は約5000年ほど活動し、活動をやめた約500年後に南岳が活動を始めました。桜島は、二つの火山が並んだ複合火山となっています。
植物は何百年もかけて、草原から森になっていきます。桜島では、流れ出た溶岩ごとに植物の成長に違いがあり、文明溶岩(1471年)上では昭和溶岩(1946年)上では見られない森を見ることができます。