生物多様性って何だろう?
「生物多様性」とは、生きものたちの豊かな個性とつながりのことです。
地球上の生きものは38億年という長い歴史の中で、さまざまな環境に適応して進化し、3,000 万種ともいわれる多様な生きものが生まれました。
これらの生きものは一つひとつに個性があり、そのすべてが支えあって生きています。
生物多様性には、「生態系の多様性」、「種の多様性」、「遺伝子の多様性」の、3つのレベルの多様性があるとされています。
生態系の多様性
鹿児島市には、森、川、海、里地里山、市街地などいろいろな環境があり、その環境にあった生きものがすんでいます。この生きものとそれがすんでいる環境、そしてそれらのつながりのことを生態系といいます。
「生態系の多様性」とは、森、川、海などいろいろなタイプの生態系があることです。
種の多様性
錦江湾には、魚やイルカのような動物や海そうのような植物から目には見えないようなび生物までいろいろな生きものがすんでいます。そして魚というグループの中にもマダイやキビナゴ、ヒラメなどいろいろな種類がいます。錦江湾にはおよそ1,000種の魚がすんでいます。
「種の多様性」とは、動物、植物、び生物などいろいろな種類の生きものがいることです。
錦江湾の生きものに見る種の多様性の大切さ
たくさんの種類の生きものが一つの生態系ですんでいることは、それらが互いに複雑な関わりを持ち、補い合って生きているということです。
たとえば、仮に錦江湾にイルカとアジしかすんでいなかったとします。ある年にアジの数が減ってしまったとしたら、アジを食べつくしたときにイルカはエサがなくなり死んでしまうかもしれません。
しかし、錦江湾にはイワシやサバなどいろいろな魚がすんでおり、仮にアジの数が何らかの影響で減ったとしても、イルカに影響がおよばずにすむでしょう。
種の多様性が増すことにより、さまざまな環境の変化に耐える力も強くなっていきます。
実際の自然界のつながりはこのように単純なものではなく、お互いにさまざまなつながりを持ち、複雑な網の目のような関係を作り上げています。網の目が複雑であればあるほど強固な生態系となりますが、一方で絶妙なバランスによってつながりが維持されていることも忘れてはなりません。
遺伝子の多様性
アサリや、ナミテントウ(テントウムシの種類)は、同じ種類の生きものでも色や模様にちがいがあります。このちがいは、遺伝子のちがいによるものです。
「遺伝子の多様性」とは、同じ種類の生きものでも遺伝子のちがいによって、色、形、模様などにいろいろな個性があることです。
生きものに個性があるということ
同じ種類の生きものでも、個性という形で、持っている遺伝子の情報が少しずつ異なっています。個性を持つということはその種類の生きものが絶滅しないために必要なことなのです。
たとえば、逃げ足が速いとか、寒さに強くカゼをひかないというような個性を持ったものがいる集団では、敵に襲われたり、急な気候の変化が起きても全滅することを免れる可能性が高くなります。
つまり、いろいろな個性のある集団は、今後起こるかもしれないさまざまな環境の変化を乗り越えていける可能性を持っているということになります。
生きものが安定的にすんでいくためには、遺伝子の多様性を持っていることが必要です。
また、こういった多様な生きものの個性の中には、ガンなどの病気を治す力があるなど、人間がまだ知らない可能性が秘められています。
遺伝子の多様性が失われてしまうことは、自然にとっても人間にとっても大きな損失といえるでしょう。
自然の中には、森、川、海、里地里山などさまざまな環境があり、その環境にあったたくさんの生きものが生きています。このようにいろいろな生きものが、複雑に関わり合って生きていることを「生物多様性」といいます。生物多様性は、生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性の3つの視点で考えることが大切です。