私たちの暮らしを支えている自然のめぐみには、どのようなものがあるのだろう。
私たちの暮らしは、自然のめぐみによって支えられています。森は二酸化炭素を吸収し、酸素を作ります。自然は、台風や地しんなど私たちの暮らしに影響を与えることもありますが、一方で、こう水や地すべりなどの災害から私たちを守ってくれています。また、食べ物やエネルギー、様々な製品の原料など、生活に欠かすことのできないものすべてが、生物多様性がもたらす自然のめぐみです。その自然のめぐみは「生態系サービス」とも呼ばれ、「基盤サービス」、「供給サービス」、「調整サービス」、「文化的サービス」の4つに分けられます。
すべての生命の基盤である「基盤サービス」
基盤サービスとは、例えば生きものが生きるうえで必要な酸素が植物の光合成により作られることや、動植物の死がいをバクテリアが分解して豊かな土が作られるなど、すべての生命を保つための基盤となる環境が提供されることをいいます。
私たちの暮らしを支える「供給サービス」
供給サービスとは、例えば野菜、魚、肉、木材といった自然から直接得られるめぐみだけでなく、植物から作られる薬などもあげられ、人間の生活に重要な資源が提供されることをいいます。
私たちの暮らしを守る「調整サービス」
調整サービスとは、例えば森が、降った雨水をたくわえ、こう水や地すべりなどの自然災害を防ぐとともに、安全な飲み水を確保してくれるなど、私たちの暮らしの安全性が提供されることをいいます。
生態系サービスの経済的な価値
私たちは植物がつくった酸素を消費し、山が蓄え浄化した水を飲み、野菜や肉などの他の生きものの命を頂きながら暮らしています。
鹿児島市民が消費する水として1日平均約17万㎥(令和3年度:市水道局平均給水量)が毎日供給されています。
山や田んぼなどには、降った雨を蓄える機能があり、雨が降っていなくても川や地下水として常に少しずつ流し続けてくれているから毎日利用できるのです。
もし雨が降ったときにこの水をタンクに貯めておかなければならないとしたら、1日分の水をためるためには、喜入の石油備蓄基地で一番大きなタンク(容量16万㎥)およそ1基分が必要となり、複数のタンクがなければ毎日安定的に水道水を供給することはできません。
もしこれをつくるとなると、非常に大きな費用がかかるでしょう。
地域特有の文化の源となる「文化的サービス」
文化的サービスとは、例えば身近な自然にふれることによって、心が落ちつくだけでなく、豊作や大漁を祝う祭や自然の風景などをヒントにした芸術作品、レクリエーションの機会が提供されることを言います。
鹿児島市域に見られる自然と生態系サービス
私たちの暮らしは生物多様性がもたらす自然のめぐみに支えられています。
生物多様性は、生きものが生きていくうえで必要な酸素、豊かな土などすべての命の基盤になり、食料、木材など私たちの生活に必要なものを与えてくれます。また、森がこう水や地すべりなどの自然災害を防いでくれるなど、私たちの暮らしを守ってくれます。その他、豊作や大漁を祝う祭りなど、地域特有の文化の源になります。